(財)古代学協会は、昨年、創立60周年の記念の年を迎えるにあたり、当協会の創立者・角田文衞博士の名を冠して、角田文衞古代学奨励賞を創設いたしました。
本賞は、季刊『古代文化』への投稿論文の中から秀作を選んで表彰し、古代史研究の奨励と将来性ある若手研究者を支援することを意図する論文賞です。本日はその第2回目の授賞式となります。
昨年は、当協会の再出発・創立60周年の機に臨む第1回目の特例として、季刊誌への移行以降4ヵ年分の投稿論文を対象とし、2名を選出いたしました。第2回目の今年からは、昨年(第63巻)、1昨年(第62巻)の2カ年の掲載原稿の中から、秀作を選んで表彰することになります。
本年5月までに、『古代文化』編集委員・編集参与・編集協力委員等66名の委員から推薦を受けた14編の論攷・研究ノートを対象とし、編集委員・編集参与を構成員とする選考委員会(6月22日)での審議を経て選考されました。
その後、役員会(6月30日)の承認をうけて、無事その受賞者選考を終えることができました。
その結果、樋口健太郎氏の「藤氏長者宣下の再検討」(第63巻第3号、日本文献学分野)、が、受賞論文・受賞者に決まりました。本研究は院政期政治史、摂関家に関する再評価と重大な問題提起を行った構想力豊かな労作で、執筆者の豊かな資質をうかがわせるものです。ここに将来性豊かな秀作を選考することができましたことは、主催者として喜びに堪えません。これが受賞者の研究の進展に、いささかなりとも寄与することを願うものです。
今後もひきつづき、関係各位のご理解とご支援をお願い申し上げる次第です。

平成24年10月8日
(財)古代学協会理事長 大坪孝雄