講師紹介と講座内容
講座名:『小右記』講読-平安貴族の日常に触れてみよう-
講師名:野口 孝子(のぐち たかこ)(京都小右記研究会主宰)
※継続講座ですが新規受講できます。
◆講師自己紹介 早稲田大学卒。鹿児島大学大学院修了。元同志社女子大学嘱託講師。 平安時代の邸宅の伝領などを研究テーマにしていましたが、近年平安貴族社会の人々の行動時間に関心を持つようになりました。とくに平安中期から夜化が固定し、『小右記』が書かれた10~11世紀は、年中行事やライフサイクルにおける儀礼の多くが夜に行われています。すでに「『夜』化の時代」(『古代文化』 59巻1号)を発表しましたが、より深い内容を知るためには、貴族の日記を丁寧に読むこと以外にはないと日々実感しているところです。 昨年、東北地方の日本海側の国府を訪れ、地域の特性と律令国家の延伸を知りました。これからはさらに日本海側の諸国を回ってみたいと考えています。 都のみならず地方に目を向けることも、歴史を学ぶうえでは大切なことだと実感しています。
◆講座の内容紹介・受講される皆様へ 『小右記』は、道長より9歳年上の知識人貴族、のち右大臣となる藤原実資によって、和製漢文体で書かれた50年余にわたる日記で、平安時代の政治・社会・文化・貴族の日常などを知るために欠かす事のできない一級の史料です。 これまで、花山天皇の即位や刀伊の入寇、安倍晴明などに焦点をあてて、それに必要な部分を中心に読んできましたが、先年、治安3年(1023)閏9月条や寛和2年(986)3月条を通しで読むことに挑戦しました。全体を通して読むと、年中行事や政務の継続性など社会的なものや著者の生き方なども垣間見られ、大変面白いものでした。 後期は紫式部に関わると見られる条文、長和2年(1013)2月25日条、同年5月25日条等を集中的に読み、作家とは異なる式部の側面に触れてみましょう。 この時、著者の実資は57歳、大納言右近衛大将として活躍しています。皇太后となった藤原彰子の信頼を得ていると同時に、左大臣道長とも順調にやっています。 講座は、本文内容や、解釈に必要な知識などを講義形式で行いますが、本文の一部は、受講生の方々による発表(希望者のみ)、ついで質疑という形も取り入れていきます。 和製漢文は、基本を知り、読み慣れると中国漢文より平易です。また文字や言葉(歴史用語)からその時代のエッセンスに触れ、臨場感を味わっていただきたいと思います。 平安時代や『小右記』に関心があり、漢文に触れてみようという気持ちのある方なら、どなたでも参加できます。大学生から後期高齢者まで幅広い層の方々が参加されています。 『小右記』本文は、当方で準備します。漢和辞典・古語辞典・歴史事典などがあると便利です。
◆講座スケジュール
第1回 10月11日(水) 内容:三条天皇の即位、その後の朝廷、後宮のあり方について解説。次いで、長和2年(1013)5月25日条を読みます。
第2回 11月8日(水) 内容:長和元年(1012)5月28日条
第3回 12月13日(水) 内容:長和2年(1013)正月19日条
第4回 2024年2月14日(水) 内容:長和2年2月25日条
第5回 3月13日(水) 内容:長和2年3月12日条・7月5日条等