公益財団法人古代学協会

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講師紹介と講座内容

講座名:和歌を読み解く(6)花山院と『拾遺集』

講師名:中 周子(大阪樟蔭女子大学名誉教授)

◆講師自己紹介

大阪府立大学大学院博士後期課程修了。言語文化学博士。大阪樟蔭女子大学名誉教授。田辺聖子文学館館長。
専門は平安時代の和歌文学、とくに一条朝の和歌で、主要な著書には『拾遺和歌集論攷』(和泉書院)、『和歌文学大系 紫式部集・藤三位集』(明治書院)があります。
また、近現代作家と古典文学との関わりにも興味を持ち、与謝野晶子の『新新訳源氏物語』自筆草稿や田辺聖子の『新源氏物語』・『私本源氏物語』等についても研究しています。
大学生の時に『紫式部集』の和歌を読み、『源氏物語』作者の実人生を垣間見る面白さを知ったことがきっかけで国文学の道に進みました。
コロナ禍の時代となり、今更ながら和歌を読むことによって、いにしえの有名無名の人々の心に触れ得る興趣に惹かれています。

◆講座の内容紹介・受講される皆様へ

和歌(短歌)は、日本独自の表現形式であり、日本語が文字を持たなかった古代から現代に至るまで驚くほど長い文学的生命を保ち続けています。
日本語は和歌とともに発達してきたといっても過言ではないでしょう。
本講座では、平安以降の和歌史を辿りながら、さまざまな和歌を読み解くことを通して、日本独自の心情表現を学んでゆきます。
本年度後期も前期から引き続き一条朝の和歌を取り上げます。
一条朝は、『枕草子』や『源氏物語』等の仮名文芸が盛行しましたが、一条天皇は勅撰集を下命せず、先帝の花山院が第三の勅撰集『拾遺集』を親撰しました。
前代勅撰集に比して『拾遺集』は杜撰な集と考えられ、古来の評価も低かったのですが、藤原定家によって三代集の一として位置付けられ今日に至っています。
定家の『拾遺集』愛好は広く知られていますが、その所以はいまだに解明されてはいません。
今期は、花山院の生涯と和歌を辿りつつ『拾遺集』を解読し、定家の愛好の所以を探りたいと思います。
受講に際して特別な知識は必要ありません。
古典和歌に興味を持つ方のご参加をお待ちしています。最終回は受講生の皆さんの希望を取り入れつつ、名歌鑑賞をする予定です。
希望者には、感想や考察を発表していただく機会も設けたいと思います。
その場合は、第3回目までに読みたい和歌をお教え下さい。




◆講座スケジュール

月1回 土曜日 10:30~12:00 ※12月は休講月です。

第1回 10月23日(土)
内容:花山院について ―説話と記録と和歌に見る実像と虚像―

第2回 11月27日(土)
内容:『拾遺集』における歌人選び

第3回 1月22日(土)
内容:『拾遺集』の編纂・配列の妙

第4回 2月26日(土)
内容:『拾遺集』の歌風

第5回 3月26日(土)
内容:名歌鑑賞(希望者の発表)