公益財団法人古代学協会

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講師紹介と講座内容

講座名:平安貴族のくらし-衣食住を探る-

講師名:鳥居本 幸代(京都ノートルダム女子大学名誉教授)

※受付終了しました

◆講師自己紹介

鳥居本 幸代(とりいもと ゆきよ)
1953年京都生まれ。京都女子大学大学院修了。京都ノートルダム女子大学教授を経て、名誉教授。
平安朝の服飾文化をはじめ、平安朝を中心とした衣食住に関わる生活文化史、さらに、雅楽、有職故実についても研究しています。
著書は単著に『平安朝のファッション文化』、『精進料理と日本人』、『雅楽-時空を超えた遙かな調べ-』、『千年の都 平安京のくらし』、『和食に恋して 和食文化考』、『京都人にも教えたい 京都百景』、『京都人のたしなみ』、『阿闍梨様の料理番』(いずれも春秋社)。
共著として、源氏物語の雅び『平安京と王朝びと』(京都新聞出版センター)、『平安京のコスモロジー』(創元社)、別冊太陽『有職故実の世界』(平凡社)など。
趣味は雅楽、茶道。

◆講座の内容紹介・受講される皆様へ

紫式部や清少納言が生きた平安時代、貴族たちのくらしを衣・食・住の分野からアプローチします。まず、食生活をみていくと、食材は今日に劣らぬほど豊かで、晴儀には豪華なご馳走が用意されました。『倭名類聚抄』『類聚雑要抄』などから食材の種類や調理法を探り、食習慣についてもみていきます。
この食生活は「引目鉤鼻」と呼ばれる容貌を作りだしますが、女性は顔立ちではなく、黒髪の美しさ、色彩感覚、香の調合が美人の条件とされていました。さらに、美男・美女と呼ばれるには、書・和歌・雅楽の教養も兼ね備えることが求められました。
つぎに、装束についてですが、男性においては位階・職種などによる詳細な決まり事があり、儀式に際しては厳守されたため、位階によって定められた装束の色目は男性のステータス・シンボルともなっていきました。一方、女性は何枚ものアイテムを重ね着することで、自由にオシャレを楽しむことができました。『源氏物語』や『枕草子』を通して、ファッションの諸相を探っていきます。実物資料を提示呈して解説します。
平安中期以降、束帯や唐衣裳装束(十二単)などの大型化したファッションへと変化を遂げますが、「寝殿造」と呼ばれる開放的な住環境から誕生したものであると考えられます。装束と住宅様式との関連を明らかにします。プリントを配布し、文献資料は現代語訳を用います。




◆講座スケジュール

月1回 水曜日 10:30~12:00  ※12月は休講月です。

第1回 10月19日(水)
内容: 平安貴族の食卓
平安貴族たちは、何を食べていたのでしょうか。1000年も前の人々は質素な食事? それともグルメ? 平安時代の百科事典といわれる『倭名類聚抄』を手がかりに、彼らの食生活の一端を探ります。

第2回 11月16日(水)
内容: 王朝の美男・美女
王朝人は、「引目鉤鼻」と呼ばれた画一した顔立ちをしていました。なぜ、光源氏は絶世の美男といわれたのでしょうか。そして、美男・美女の条件について明らかにします。

第3回 2023年1月18日(水)
内容: 男性ファッション
男性貴族のファッションは、儀式用と日常用が明確に区別され、なかでも儀式用の装束には位階、職種による区別が厳格に決められていました。装束における決まり事をみていきます。

第4回 2月15日(水)
内容: 女性ファッション
唐衣裳装束(十二単)を代表とする女性貴族のファッションは、着重ねることに重点が置かれていました。王朝の色彩感覚から、重ね着の美を探っていきます。

第5回 3月15日(水)
内容: 平安貴族の住まい
平安貴族たちは、池がある大きな庭に、開放的な住居を配置した「寝殿造」と呼ばれる空間で暮らしていました。京都の気候に配慮した住生活環境をみていきます。