角田文衞古代学奨励賞
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角田文衞古代学奨励賞 第2回受賞者
◇ 経  歴

氏 名 樋口 健太郎(ひぐち けんたろう)
生 年 1974年(愛知県生) 神戸市在住
学 歴 2007年 神戸大学大学院文化学研究科
    (博士課程)修了
    2007年 神戸大学博士(文学)
職 業 大手前大学非常勤講師


◇ 受賞論文
 藤氏長者宣下の再検討(第63巻第3号、2011年12 月)


◇ 受賞理由
 これまでの通説では、藤氏長者は保元の乱(1156年)以降、つねに宣旨によって決められるものとされていたが、それが事実でないことを明らかにし、乱後の摂関家の評価をあらためた画期的意義を持つ研究で、院政期政治史に大きな問題提起を行った労作である。
 この論攷の眼目は、保元の乱に際し、関白藤原忠通が宣旨で藤氏長者に任じられて以降、長者の就任に際しては宣下を受けることが常態化し、摂関家が自主的に長者を決定できなくなり、そのことは摂関家の衰退を象徴している、という通説を単に見直したというだけではなく、藤氏長者宣下が行われるようになった事情を再検討し、保元の乱以降の摂関家の評価を見直そうとした点にあり、その構想力は高く評価されるべきものがある。
 従来、保元・平治の乱以後の摂関家については、後白河院政・平氏政権下で政治的地位を低下させたとされ、個々の人物についての研究はあるものの、権門の一角としての位置の再検討はあまりなされてこなかった。この研究は摂関家と王権・院政との権力関係を再検討したもので、院政期の摂関家に対する既存のイメージを大きく打破するとともに、新たな視点からの研究に繋がるものであると評価できる。
 樋口氏は院政期の摂関家にかかわる体系的な研究を進めており、2011年2月に単著『中世摂関家の家と権力』を校倉書房から出版している。院政期政治史の研究を総合的に発展させる研究者として期待でき、氏への授賞は、長く王朝貴族社会の研究に取り組まれた角田文衛博士の業績を継承発展させうる前途有為な研究者の支援を行う本賞の主旨にふさわしいといえる。


◇ 主な著作・論文等
・『中世摂関家の家と権力』(校倉書房、2011年2月)
・『高砂市史』第一巻通史編(共著、兵庫県高砂市、2011年10月)
・「白河院政期の王家と摂関家—王家の「自立」再考—」
  (『歴史評論』736号、2011年8月)

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