角田文衞古代学奨励賞
 
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角田文衞古代学奨励賞の創設
公益財団法人 古代学協会理事長 大坪孝雄
 (財)古代学協会は本年10月1日、創立60周年の記念の日を迎えます。
 この記念すべき年に当たり、当協会の創立者・角田文衞博士が残された輝かしい学問的業績をたたえるとともに、古代史学界への貢献を記念し、その名を冠して、ここに角田文衞古代学奨励賞を創設することにいたしました。
 本賞は別記要綱により、季刊『古代文化』への投稿論文の中から秀作を選んで、表彰し将来性ある若手研究者を奨励、支援することを意図するものです。
 『古代文化』の創刊は、昭和32年(1957)8月のことでしたが、もともと当協会の機関誌『古代学』を補完し、読者会友との親睦を目的としたサロン誌として出発しました。第1号はB5判8頁の月刊の小冊子でした。その後の長い歴史のなかでは、体裁、内容構成などにさまざまな変遷と曲折がありました。新しい古代史研究の方法論を樹立したいと念願して、戦後間もなく創刊された『古代学』昭和47年に停刊となると、『古代文化』はその役割も担うことになりました。
 これまでの一番大きな変革は、昭和63年(1988)発行の第40巻でした。この年、『古代文化』のさらなる飛躍を願って、外部識者を招いて編集委員会を充実させ、これと同時に投稿原稿に対するレフェリー制を導入し、掲載原稿の質的向上と原稿採否の公平性を図りました。第59巻からは季刊での刊行となり、今日に至っています。
 角田博士は、大阪の地で古代学協会を生み、『古代学』を発行して、慈しみ育てあげ、学問の理想を謳いあげられました。京都に歩を進めて、みずからが理想とする学問の園を開き、そしてそこに多くの学徒を懐深く迎え入れ、時に厳しく学問の尊厳を教え、学界を先導する多くの俊秀を世に送り出されました。
 平成20年5月角田文衞博士は永眠されました。60年前に印したかすかな一歩の踏み跡から、今日に至るまでの長い道程、来し方を振り返ると、そこに、みずから先頭に立ってひたすら鍬をふるってこの険路を開削し、古代史研究の細道をまっすぐに延びる「古代学」の大道に築きあげてこられた博士の孤高の姿に思いを馳せずにはいられません。
 関係者はしばらくの間、茫然自失しておりましたが、博士と当協会の理想をどのように継承するのか検討してまいりました。膝下に集うて薫陶を受けた者たちは、博士の学恩に報い、斯界の発展のために払われた博士の長年の労苦を記憶にとどめ、その学統を絶やすことなきようにと、その志を後進研究者への助成というかたちによって生かそうということになりました。
 本誌への寄稿が、一人また一人、研究者として巣立っていくことの機縁となるよう、当協会は故角田文衞博士ともども願ってやみません。関係各位のご理解とご支援をあわせてお願い申し上げる次第です。

(なお、第1回目の授賞式は、10月1日の(財)古代学協会創立記念日に行なう予定です。

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