公益財団法人古代学協会

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講師紹介と講座内容

講座名:北野天神信仰の文化史

講師名:西山 剛(にしやま つよし)(京都文化博物館主任学芸員、北野文化研究所特別研究員)

※新規講座

◆講師自己紹介

京都文化博物館主任学芸員。北野文化研究所特別研究員。総合研究大学院大学文化科学研究科博士課程満期退学、博士(文学)。専攻は日本史、とくに京都を中心とした都市社会史。天皇行幸、北野祭礼、祇園会など、輿や神輿を舁く人びとにこだわって研究を進めてきました。
主な著書に『輿をかつぐ人びと 駕輿丁・力者・輿舁の社会史』(思文閣出版、2024)。また近年の担当展覧会は特別展「大名茶人 織田有楽斎」(京都文化博物館、サントリー美術館、2023年)、特別展「新撰組2022」(福島県立博物館、京都文化博物館、2022)、特別展「北野天満宮 信仰と名宝」(京都文化博物館、2019)。

◆講座の内容紹介・受講される皆様へ

北野天満宮は残された縁起によると天暦元年(947)6月9日に社殿が造営され、創建されたと伝えられます。祭神は菅原道真。藤原時平の讒言によって醍醐天皇は怒りをかい、大宰府へ左遷された後に非業の死を遂げた人物です。無実の罪による恨みは強烈で、北野天満大自在天神として御霊となった道真は平安京に大きな被害を与え、これを畏れた朝廷は道真の憤怒を和らげるためにあらゆる手段を講じ、強力な神として祀られていく話はよく知られています。この講座では、北野天満宮に現代も宿るさまざまな儀式や所蔵する神宝を通して、その背景にある天神信仰の文化や歴史をひもといていこうと思います。




◆講座スケジュール

5回講座 土曜日 13:00~14:30 ※12月は休講月です。

第1回 10月25日(土) 天神信仰ことはじめ ―北野天満宮と天神信仰の概略
内容: 北野天満宮と天神信仰を学んでいく上でその基礎となる概略を述べ、連続講座全体の見取り図を提示します。

第2回 11月22日(土) 菅原道真が天神となるまでー漢詩を史料として読む
内容:北野天満宮の主祭神は菅原道真です。彼は学者や政治家として当時の朝廷の中で重きをなしました。また漢詩人としても著名で、作られた数々の詩は『菅家文草』『菅家後集』で読むことが可能です。この講義ではこれら残された詩を手がかりに人間・菅原道真の生涯をたどります。

第3回 1月24日(土) 北野天満宮創建 ―北野天神縁起を史料として読む
内容:北野天満宮の創建および公験については複数残された北野天神縁起類に詳しい。本講では、根本縁起と称される「北野天神縁起巻 承久本」および戦国時代において成立した土佐光信筆・三条西実隆詞書「北野天神縁起絵巻 光信本」を素材に、描かれた縁起の世界を他の歴史史料を比較しつつ、その意味について述べていきたい。

第4回 2月28日(土) 北野祭礼の実態と意義
内容: 古代、中世における北野祭礼は勅祭(朝廷が主催する祭礼)で、8月1日・4日を式日として開催されていました。残念ながら応仁・文明の乱で途絶した後、長らく復興されず幕末に至るが、かつての祭礼の姿とは変容してしまっている部分も多い。この講義では絵画史料、文献史料を用いて復元的にかつてあった勅祭・北野祭礼の姿に迫る。

第5回 3月28日(土) 現地見学予定 北野天満宮の空間的特徴
内容:北野天満宮の実地踏査。ここまで学んできた北野天満宮はどのような地理的環境にあり、歴史を紡いできたのか。現地を歩きながら考える。