公益財団法人古代学協会

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講師紹介と講座内容

講座名:『小右記』講読 ―平安貴族の日常に触れてみよう―

講師名:野口 孝子(古代学講座講師)

※継続講座、新規受講できます。中級講座はなくなりました。

◆講師自己紹介

早稲田大学卒。鹿児島大学大学院修了。元同志社女子大学嘱託講師。古代学講座講師。
平安時代の邸宅の伝領などを研究テーマにしていましたが、最近平安貴族社会の行動時間に関心を持つようになりました。
とくに平安中期から夜化が固定し、『小右記』が書かれた10~11世紀は、年中行事やライフサイクルにおける儀礼の多くが夜に行われています。
すでに「『夜』化の時代」(『古代文化』 59巻1号)を発表しましたが、より深い内容を知るためには、貴族の日記を丁寧に読むこと以外にはないと日々実感しているところです。
旅に出ることが大好きですが、コロナ渦中ですので自粛しながら、ときどきリモートで『小右記』自主講座を行っています。

◆講座の内容紹介・受講される皆様へ

『小右記』は、道長より9歳年上の知識人貴族、のち右大臣に昇る藤原実資によって、和製漢文で書かれた50年余にわたる日記で、平安時代の政治・社会・文化・貴族の日常などを知るために欠かす事のできない一級の史料といえます。
これまで、花山天皇の即位や刀伊の入寇、安倍晴明などに焦点をあてて、それに必要な部分を中心に読んできましたが、全体を通して読むと、年中行事や政務の継続性などもわかり、それも大切なことです。
そこで今期は、治安3年閏9月条、まるまる1か月に挑戦します。
このころ「閏」というのは、数年に一度廻ってきて、1か月増えることになります。
このような場合、年中行事はどうなるのかなど興味深いものがあります。
また著者の実資は、67歳ですが、前月に新しく造った邸内の御堂で顛倒し、顔面をぶつけて大けがをしてしまいます。
疵のこともさることながら、すぐに見舞いに駆けつけたミウチのことなどもしっかりと書き留めていて実に面白い。
同時に、医師には薬の調合を、陰陽師には占術を、僧には回復の祈祷を頼んでいます。
夢でみた薬の新作を試みたり、鏡で疵をチェックしたり、調子がいいとか悪いとか、今日の人々と何ら変わらない心情もみてとれます。
この間、実資は家に引き籠もっていますが、多くの人が尋ねてきて、焼亡した大安寺再建のことや地方の情勢など、様々な情報をもたらすと同時に、実資に意見を求め、「賢人右府」(賢い右大臣)の一端も窺われます。。
講座は、本文内容や、解釈に必要な知識などを講義形式で行いますが、本文の一部は、受講生の方々による発表(希望者のみ)、ついで質疑という形も取り入れていきます。
和製漢文は、基本を知り、読み慣れると中国漢文より平易です。
また文字や言葉(歴史用語)からその時代のエッセンスに触れ、臨場感を味わっていただきたいと思います。
平安時代や『小右記』に関心があり、漢文に触れてみようという気持ちのある方なら、どなたでも参加できます。
大学生から後期高齢者まで幅広い層の方々が参加されています。
『小右記』本文は、当方で準備します。
漢和辞典・古語辞典・歴史事典などがあると便利です。




◆講座スケジュール

月1回 水曜日 10:30~12:00 ※8月は休講月です。

第1回 4月13日(水)
内容:治安3年閏9月18日条から始めます。

第2回 5月11日(水)
内容:承前

第3回 6月8日(水)
内容:承前

第4回 7月13日(水)
内容:承前

第5回 9月14日(水)
内容:承前