(公財)古代学協会は、2011年、創立60周年を迎えるにあたり、当協会の創立者・角田文衞博士の名を冠して、角田文衞古代学奨励賞を創設いたしました。
本賞は、季刊『古代文化』への投稿論文の中から秀作を選んで表彰し、古代史研究の奨励と将来性ある若手研究者を支援することを意図する論文賞です。本日はその第6回目の授賞式となります。
2011年は、当協会の再出発・創立60周年の機に臨む第1回目の特例として、2名を選出いたしました。第2回目の2012年以降は、先立つ2カ年の掲載原稿の中から、秀作を選んで毎回1名を表彰することにいたしました。
今回、第6回目の選考にあたっては、本年5月までに、『古代文化』編集委員・編集参与・編集協力委員等81名の委員から推薦を受けた論攷・研究ノートを対象として、編集委員・編集参与を構成員とする選考委員会(6月17日)での審議を経て選考されました。
その結果、藤山龍造氏の「砥石から読み解く骨角器生産-栃原岩陰遺跡を中心に-」(『古代文化』第66巻第1号、2014年6月)が、受賞論文・受賞者に決まりました。本研究ではこれまで等閑視されがちであった器種である砥石に着目し、その背景にある骨角器生産の実態を解明しようとする着眼点、そして自らの仮説を論証するために詳細に骨角器の使用痕を観察する姿勢は、考古学的に模範的な研究方法と言え、高く評価することができます。
ここに将来性を予感させる秀作を選考することができましたことは、主催者として喜びに堪えません。これが受賞者の今後の研究の進展に、いささかなりとも寄与することを願うものです。
今後もひきつづき、関係各位のご理解とご支援をお願い申し上げる次第です。

平成28年10月1日
公益財団法人 古代学協会
理事長 大坪孝雄