公益財団法人古代学協会は、2011年、創立60周年を迎えるにあたり、当協会の創立者・角田文衞博士の名を冠して、角田文衞古代学奨励賞を創設いたしました。
 本賞は、季刊 『古代文化』 への投稿論文の中から秀作を選んで表彰し、古代史研究の奨励と将来性ある若手研究者を支援することを意図する論文賞です。今回で第11回目を迎えることができました。
 今回の選考にあたっては、本年6月までに『古代文化』編集委員・編集参与の委員から推薦を受けた論攷・研究ノートを対象として、編集委員・編集参与を構成員とする選考委員会(6月16日)での審議を経て選考されました。 
 その結果、新尺雅弘氏の「近江・石山国分瓦窯からみた藤原京造瓦供給体制の特質-藤原京造営における律令負担の考古学予察-」(『古代文化』第74巻第4号、2023年3月)が選ばれました。
 本論文は、藤原宮の造瓦供給体制についての精緻な研究であり、その成果は今後の日本古代の瓦の生産と供給、ひいては律令国家の体制の研究に大きな貢献をなすものとして高く評価したいと考えております。
 ここに将来性を予感させる秀作を選考することができましたことは、主催者として喜びに堪えません。本賞が新尺氏の今後の研究の進展に、いささかなりとも寄与することを願うものです。
 今後もひきつづき、関係各位のご理解とご支援をお願い申し上げる次第です。

2023年10月15日
公益財団法人 古代学協会
理事長 朧谷 壽