公益財団法人古代学協会

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講師紹介と講座内容

講座名:三人の斎王から見た平安時代の王権

講師名:榎村 寛之(斎宮歴史博物館学芸員)

※受付終了しました

◆講師自己紹介

榎村 寛之(えむら ひろゆき)
1959年大阪市生。大阪市立大学(学部)、岡山大学(修士)、関西大学(博士)。博士(文学)。2020年3月の終わりまで(三重県立)斎宮歴史博物館で学芸普及課長を務めていました。斎宮とのかかわりは1987年に始まります。斎宮を研究するためには、歴史学(文献史学、特に古代史・中世史、伊勢神宮を研究するためには近世史も重要)のほか、考古学、国文学、民俗学、神話学、説話学、文化人類学、宗教学などが必要なので、広く浅く勉強して、昨年から「FM GIG」というインターネットラジオで毎週土曜日10:00からDJもやっています。なお、本業は王権論の研究者のつもりです。
著書に『律令天皇制祭祀の研究』(1996)、『伊勢斎王と斎宮』(2004)、『伊勢斎宮の歴史と文化』(2009)、『伊勢斎宮の祭祀と制度』(2010)『律令天皇制祭祀と古代王権』(2020)(いずれも塙書房)、『日本古代の都と神々』(2008 吉川弘文館)、『伊勢神宮と古代王権』(2012 ちくま選書)、『斎宮―伊勢斎王たちの生きた古代史』(2017 中公新書)、ほか共著、論文多数。
趣味は、いろいろな舞台を見ること。落語文楽歌舞伎ミュージカルバレエ小劇場、中でも30年継続しているのが宝塚歌劇。

◆講座の内容紹介・受講される皆様へ

『伊勢物語』の斎王の恋はなぜ書くことができたのか。『源氏物語』の六条御息所のモデルはなぜ伊勢を目指したのか。光源氏のモデル、具平親王の娘はなぜルールを破った託宣を行ったのか。
すでに古代学講座でもご紹介した内容を踏まえつつ、少し角度を変えて、平安時代の斎宮をめぐる三つの事件とその背景を素材に、王権と斎宮の関係を再検討します。




◆講座スケジュール

月1回 水曜日 13:00~14:30 ※12月は休講月です。

第1回 10月19日(水)
内容:『伊勢物語』の時代と斎王
在原業平の時代の斎宮の位置づけとは、そして『伊勢物語』が書かれた頃の斎宮の位置づけとは。事実と物語の背景となった社会意識の変化から、9世紀の斎宮の変質と、摂関政治確立期の王権の中で翻弄されるその姿を追及します。

第2回 11月16日(水)
内容:斎宮女御の自覚と斎王
三十六歌仙の一人、斎宮女御の歌からは、斎王の矜持、女御としての葛藤、そして先の女御としての不安と元斎王としての自覚という揺れ動く意識を垣間見ることができます。斎王として、斎王の母として生きた彼女の人生から、10世紀の斎王の意義づけを考えます。

第3回 2023年1月18日(水)
内容:長元の託宣と神を語る斎王たち
11世紀には、夢告や託宣など、神の言葉を告げる斎王が三人現れます。三条天皇皇女当子内親王、後一条天皇朝の斎王で具平親王の娘嫥子女王、そして後朱雀天皇の娘良子内親王です。三人は何を語り、社会をとのように動かしたのかを考えます。

第4回 2月15日(水)
内容:語り足りなかったこと
上記三回では時間が足りないと想定できますので、そのための調整回とします。万一時間が余っていたら、お楽しみエピソードをご紹介します。

第5回 3月15日(水)
内容:神と語る斎王たち
5世紀に始まるプレ斎王の不思議な記録、8世紀に整備された王権の安全装置としての斎王制度、そのいずれもと関連があり、かつ新たな展開を遂げる平安時代の斎王たちを鏡にして、平安時代の王権とは何かを改めて考えてみたいと思います。