公益財団法人古代学協会

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講師紹介と講座内容

講座名:邪馬台国論争近畿論の新しい考古学研究のうごき

講師名:森岡秀人(もりおか ひでと)(古代学協会客員研究員)

※新規内容  ※受付終了しました

◆講師自己紹介

1952年神戸市生まれ。現地・現物主義で遺跡・遺物の観察眼を研ぎ澄まし、日本考古学を50年以上専攻。中学校・高等学校と歴史クラブ活動に専念、関西大学文学部史学科考古学研究室時代には、末永雅雄・横田健一・有坂隆道・網干善教・薗田香融の諸先生に師事。学生時代には、高松塚古墳、島の庄遺跡、川原寺裏山遺跡、尼塚古墳群、外山谷1号墳、吉志部古墳、陶邑・千里古窯跡群、乳の岡古墳、定の山古墳、加茂遺跡、中曽司遺跡、垂水遺跡、会下山遺跡、朝日ヶ丘遺跡、八十塚古墳群、城山古墳群、具足塚古墳、金津山古墳、打出小槌古墳などを発掘しました。

芦屋市教育委員会・芦屋市立美術博物館〔兼務〕で文化財保護、遺跡調査、展示学芸、社会教育の仕事に43年間従事。2017年、65歳完全退職。古代学研究会前代表、古墳出現期土器研究会会長、(公財)古代学協会客員研究員、古代文化編集委員・考古学研究会全国委員、国立歴史民俗博物館共同研究員、辰馬考古資料館資料調査委員、赤穂市・彦根市・守山市・淡路市・南あわじ市などの各種委員。奈良県立橿原考古学研究所共同研究員、大手前大学史学研究所共同研究員、濱田青陵賞選考委員など。70歳までに大阪大学・関西大学・神戸大学・滋賀県立大学・立命館大学・大手前女子大学・梅花女子大学・甲南大学ほかで非常勤講師を務める。

研究や関心を示すテーマは広く、陵墓古墳、縄文・弥生時代の移行期研究、弥生土器・弥生集落・水田跡の研究、青銅器の研究、古墳出現期の研究、古式土師器の研究、群集墳や地方寺院の研究、考古学と日本古代史との関わり、年代学的研究、中世・近世の石切場・石垣の全国的研究も行っています。共著書や論文は多数あり、『日本史講座』1(東京大学出版会)、『稲作伝来』(岩波書店)、『列島の考古学』弥生時代(河出書房新社)、『講座日本考古学』弥生時代(青木書店)、『弥生土器の様式と編年』近畿編Ⅰ・Ⅱ(木耳社)、『古式土師器の年代学』(大阪府文化財センター)、『初期農耕活動と近畿の弥生社会』(雄山閣)、『月刊考古学ジャーナル』『季刊考古学』127号・157号特集編集等。『兵庫県の古代遺跡』(神戸新聞総合出版センター)、『纏向学からの発信』(大和書房)。『万葉集の考古学』(筑摩書房)、『韓国の前方後円墳』など。

趣味は囲碁、雲の観察、スズムシの観察、里山歩き、美術鑑賞、読書、旅行、石造物巡りほか。

◆講座の内容紹介・受講される皆様へ

倭国の形成には、何段階もの紆余曲折があった。本期の講座では、邪馬台国論争のかなめとも言うべき卑弥呼の登場の場を近畿地域で考える立場を前提とする。しかし、邪馬台国位置論争について、畿内説や大和説を標榜するものではない。一貫して固定するほど、近畿の弥生地図は単純ではないとみている。この近畿圏の弥生時代から古墳出現期にかけての実年代評価は研究者によってまだかなり異なりをみせたままである。考古学は時間と空間の関係性を整序し、ヤマト王権成立までの道程がなお複雑であることを理解する必要がある。近畿は大きく見て南部と北部の集団が対立や親和、同調などの覇権をめぐる動きもあって、遺跡や遺構・遺物の分析にはまだ多くの検討がいる。邪馬台国論争に不可欠な柔軟性をいくつも提示し、少しでも真の歴史像に迫ってみたい。初心者にもわかりやすく、日本考古学の研究の進展の醍醐味も伝えたいと思う。




◆講座スケジュール

5回講座 水曜日 13:00~14:30 ※12月は休講月です。

第1回 10月23日(水)
内容: 卑弥呼擁立社会の基本問題の整理

第2回 11月27日(水)
内容: 邪馬台国前史としての弥生時代後期の近畿北部

第3回 1月22日(水)
内容: 東伝の大陸系文物と淀川・琵琶湖軸ルート

第4回 2月26日(水)
内容: 伊勢遺跡の構造と変遷の謎―卑弥呼がみた祭祀施設?―

第5回 3月26日(水)
内容:銅鐸から銅鏡への実相