公益財団法人古代学協会

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講師紹介と講座内容

講座名:『源氏物語』を読み解く(一)紫式部の日記を読む  

講師名:中 周子(なか しゅうこ)(大阪樟蔭女子大学名誉教授)

※新規講座  ※受付終了しました。

◆講師自己紹介

大阪府立大学大学院博士後期課程修了。言語文化学博士。大阪樟蔭女子大学名誉教授。田辺聖子文学館館長。専門は平安時代の和歌文学、とくに一条朝の和歌で、主要な著書には『拾遺和歌集論攷』(和泉書院)、『和歌文学大系 紫式部集・藤三位集』(明治書院)があります。また、『源氏物語』が驚異的な文学的生命を持ち存続しているのは、近現代作家による現代語訳や翻案が大きく寄与していると考え、与謝野晶子の『新新訳源氏物語』自筆草稿や田辺聖子の『新源氏物語』・『私本源氏物語』等についても研究しています。

◆講座の内容紹介・受講される皆様へ

時代背景、王朝の風俗、複雑なストーリー展開、多彩な登場人物……、『源氏物語』ほど、さまざまな角度から読み解く面白さが詰まった物語はありません。この講座では、『源氏物語』を、和歌によって発展してきた日本独自の表現、自然感情や美意識を基盤にして成立した物語であるという観点から、読み解いてゆく予定です。『源氏物語』が、四季折々の自然や人間界の出来事、人の心や行動をどのように描き出しているのかを考察します。
今年度は、まず、「物語作者・紫式部」の鋭い観察眼と卓越した描写力を探るべく『紫式部日記』を取り上げます。前期は、現存伝本が有する問題点(成立の謎)をふまえた上で、中宮彰子が皇子を出産する前後(寛弘五年)の記事から、宮仕え女房として記録する姿勢、物語作者ならではの人間観察と人物描写・批評の方法を読み取ります。古代協会所蔵『紫式部日記』(絵巻本)の断簡や『紫式部日記絵詞』(複製本)等を参照しつつ、古典籍の書写や宮仕えの様子を追体験できればと思います。
受講に際して特別な知識は必要ありませんが、紫式部と『源氏物語』に興味を持つ方のご参加をお待ちしています。




◆講座スケジュール

5回講座 土曜日 10:30~12:00 ※8月は休講月です。

第1回 4月27日(土)
内容:『紫式部日記』成立の謎

第2回 5月25日(土)
内容:宮仕え女房の視線

第3回 6月22日(土)
内容:『源氏物語』作者の視線

第4回 7月27日(土)
内容:人物描写と批評の方法

第5回 9月28日(土)
内容:『紫式部日記絵詞』に描かれた日記の世界