公益財団法人古代学協会

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(公財)古代学協会 プロジェクト研究員公募要項

◇2021年度プロジェクト研究員は、厳正なる審査の結果、岡島陽子氏に決定致しました。

【趣 旨】
外部研究者との連携による古代学研究推進のために、若手古代史研究者への支援の意味を込めて研究員を公募する

【研究テーマ】 (公財)古代学協会が掲げる共同研究

【身分】    (公財)古代学協会 プロジェクト研究員

【募集人数】   若干名

【応募資格】
上記の研究テーマを推進するのにふさわしい学力と実績を有する若手研究者
(博士課程在籍大学院生を含む)で、原則として研究機関の専従者でない者。
ただし、短期の任期付研究員はこの限りでない。(京阪神在住者が望ましい)

【待遇等】
・無給、研究費支給(年間30万円)、研究に係わる交通費実費支給
・科研費応募資格の付与(大学院生を除く

【任用期間】
毎年度更新。最大所属する共同研究の終了年まで。
ただし、 共同研究の内容に添ったテーマで研究代表者として科研費の配分を受けた場合は、別途考慮する。

【経過報告】
概ね3ヶ月に1回程度、研究の進捗状況の報告をする。

【応募期間】
ホームページにて公開 ※2021年度の募集は終了いたしました。

【応募書類】
履歴書、業績目録、研究略歴、これまでの研究テーマ(A4判、1ページ)、今後の研究計画・抱負A4判、1ページ)を
各1部(形式自由)
・メールアドレスなど連絡先

【選考及び決定】
書類選考により5月初旬に決定し、結果は当協会ホームページにて発表

【2021年度 奨励研究員の紹介】

◇ 岡島 陽子(おかじま ようこ)

平成2年生まれ 愛知県出身 京都市在住

このたび「日本における後宮の研究」プロジェクトに研究員として参加させていただくことになりました岡島陽子と申します

私はこれまで、日本の後宮女官制度を対象に研究を行ってきました。
平安時代の女官制度として女房の存在が有名ですが、令制では男性官司の二官八省とは別に後宮職員令のもとに設定された十二司に女官は配属されていました。

私はこの令制後宮十二司体制から女房を中心とした女官制度への変革の過程と背景に興味を持ち、研究を進めてきました。後宮女官制度は史料の不足もあり、現在でも検討すべき点を多く残すテーマです。

この女官制度の変遷について、後宮十二司の解体と内侍司を中心とした再編という形で研究の道筋を示したのが角田文衛先生です。
それまで女帝研究や采女・内侍司など個別的な検討が中心であった中で、奈良時代から平安時代への制度的展開を大きくとらえた角田先生の研究が示した枠組みはその後定説化し、女官研究の基礎となっていきました。
その角田先生が女官制度だけでなく、后妃も含め広く後宮制度全般について、古代を中心に近現代までを視野に入れた長い時間軸で論じつくしたのが大著『日本の後宮』(学燈社、1973年)です。

ところでこの本を実際に手に取ったことがある方はどれほどいるのでしょうか。
『日本の後宮』は文字通り「大著」であり、とても持ち歩きできるサイズではありません。学生時代は借りだすのを断念して大学の地下書庫でせっせと書き写したものです。
いっそ購入しようにも簡単に手が出せるお値段ではありませんでした。
博士課程進学を機に、腹をくくって購入しましたが決済ボタンを押す手が震えました。
今でも我が家で最も高価で最も大型の書籍です。

近年女官や后妃を含めた後宮研究が歴史家の研究テーマとして一分野を形成するようになる中で、角田先生の研究を再評価する時期に来ていると思います。
角田先生の関連論考は近刊の著作集の第一巻が『後宮と女性』にもまとめられていますが、やはり『日本の後宮』なくしては語れないでしょう。
本プロジェクトでは『日本の後宮』の再検証を行い、従来入手しにくかったこの著作を一般にも広く入手可能な形で復刊することを目的としています。
この思い出深く、また高い壁である著作の復刊事業に関われることを大変うれしく思います。

この再検証の過程で後宮研究をさらに深め、今後のこの分野の発展に寄与できるような成果をお示しできるよう努めてまいりますので、何卒皆さまからのご指導を賜れましたら幸いです。
宜しくお願い申し上げます。