講師紹介と講座内容

講座名:『源氏物語絵巻』を読む―「鈴虫」「夕霧」「御法」の精読―
講師名:中島和歌子(なかじま わかこ)(京都女子大学 宗教・文化研究所 客員研究員)
※継続講座
◆講師自己紹介 平安文学と文化の研究をしています。1994年夏に札幌の大学に赴任し、2020年4月に京都女子大学文学部国文学科に移り、2025年度末に定年退職しました。2026年度は、京女を含め複数の関西の大学で非常勤講師をしています。また、京女の宗教・文化研究所の客員研究員でもあります。古代学協会には、『御堂関白記』講読会への出席や『平安時代史事典』の校正のアルバイトで、院生や助手の頃からお世話になっています。母校の大学院博士課程では、学際的な研究を重視しており、他の分野から複数、副指導教官を選ぶ制度がありました。私の場合は、中国古典文学、日本美術史、日本古代中世史です。絵巻の研究は美術史の演習で始めました。国文学はもちろん、これら他の分野の演習や漢文日記の講読などが、卒業論文以来の『枕草子』研究につながっています。また、漢文日記の註釈が陰陽道研究にもつながりました。単著は『陰陽師の平安時代―貴族たちの不安解消と招福―』(歴史文化ライブラリー601、吉川弘文館、2024年)、共著は『新編枕草子』(おうふう、2010年)等です。
◆講座の内容紹介・受講される皆様へ 国宝の『源氏物語絵巻』は、『源氏物語』成立の百年余り後に作られました。近年、科学的な分析が広範囲に行われ、それに基づいた復元も試みられて、本来の絵の姿が一層明らかになってきています。また絵巻は、絵の前に位置する物語本文(詞書)の内容、書体、料紙の装飾、装丁などを含めた総合芸術ですが、特に当絵巻はそのことが顕著で、同じく総合芸術である能に通じるものがあります。
本講座では、ほぼ成立当初のかたちで現存し、種々の面で最も評価が高い「柏木」から「御法」までのいわゆる「柏木グループ」のうちの後半、五島美術館蔵の「鈴虫」の2画面と「夕霧」「御法」を取り上げます。まず全体的な現存状況、特徴的な詞書の書き方や料紙装飾、やまと絵の技法、平安時代中後期の建築・調度・装束等について再確認した上で、「鈴虫⑴」から順に、現存最古の『源氏物語』の本文である詞書や、復元模写も視野に入れつつ、絵を詳しく見ていきます。講座名に「読む」という言葉を用いているのは、絵の分析が『源氏物語』の「読み」に直結しているからです。また、詩歌や『枕草子』などの『源氏物語』の源泉や周辺の文学作品や絵画作品、平安時代の文化や歴史などにも触れます。これらを通じて、絵巻が物語の世界をどのように表現したかや、平安時代に育まれた伝統文化の魅力について、理解を深めていただくことを目指します。
◆講座スケジュール
月1回 5回講座 土曜日 10:30~12:00 ※12月は休講月です。
第1回 10月24日(土)
内容:国宝の『源氏物語絵巻』の「柏木グループ」の前半の内容を確認した上で、「鈴虫⑴」について、詞書の内容や料紙装飾を含め、出家後の女三宮などの人物がどのように描かれているか、詳しく見ていきます。
第2回 11月28日(土)
内容:「鈴虫⑵」は、「鈴虫⑴」と同じ八月十五夜、源氏が冷泉院を訪れた場面で、二千円札の図柄にもなっています。誰がどこにいて何をしているか、また絵巻としての独自性は何かなど、詳しく見ていきます。
第3回 1月23日(土)
内容:「夕霧」は、夕霧の正妻雲居雁が、柏木未亡人の落葉宮の母、一条御息所からの手紙を奪う場面です。「柏木⑵」や「横笛」との関係を含め、多角的に詳しく見ていきます。
第4回 2月27日(土)
内容:「御法」は、源氏の最愛の女性、紫上の臨終直前の場面です。二回に亘り、詳しく見ていきます。まず、詞書の内容、料紙装飾、描かれた人物や物に関連する物語の他の巻の本文などを詳しく取り上げます。
第5回 3月27日(土)
内容:「御法」の絵について、前回の内容を踏まえて、詳しく見ていきます。さらに、「柏木グループ」全体の特長について、これまでの復習を兼ねて、言及したいと思います。
