講師紹介と講座内容

講座名:古代の日朝関係史
講師名:田中俊明(たなか としあき)(滋賀県立大学名誉教授)
※継続講座
◆講師自己紹介 1952年、福井県生まれ。京都大学文学部卒業・同大学院文学研究科博士課程認定修了。史学科の東洋史学研究室に在籍していた。日本学術振興会特別研究員・堺女子短期大学助教授を経て、滋賀県立大学に移り、2018年3月に停年退職した。朝鮮古代史および古代日朝関係史を研究している。高句麗史・百済史・新羅史および加耶史。三国については、特に都城制と領域支配の問題を扱ってきた。また楽浪郡にも関心があり、直近の科学研究費補助金による研究テーマ(2022年度まで)は「古代中国の東北フロンティア開発と玄菟郡・楽浪郡」であった。正史(『新唐書』まで)東夷伝の訳注、『三国史記』の訳注も進めている。『大加耶連盟の興亡と「任那」』吉川弘文館、『古代の日本と加耶』山川出版社、『高句麗の歴史と遺跡』(東潮と共著。中央公論社)『韓国の古代遺跡』1新羅篇・2百済伽耶篇(同前)など。『魏志』東夷伝の訳注と、『倭の五王と東アジア世界』の刊行を準備している。
◆講座の内容紹介・受講される皆様へ 朝鮮半島の諸国・諸勢力と日本との関係について詳しくみていきたいと思います。かつて山尾幸久『古代の日朝関係』(塙書房、1989)という好著がありましたが、だいぶ時間もたち、改めるべき点もふえてきています。そのことを意識しながら、古代の日朝関係史の基礎的で入門講座的な内容にしていきたいと思います。
◆講座スケジュール
5回講座 水曜日 15:00~16:30 ※8月は休講月です。
第1回 4月16日(水)
⑪ 倭王讃の東晋遣使と高句麗
内容:五世紀は、倭の五王の時代です。その最初の中国遣使(413年)をめぐって、実際に送られたのかどうか、議論が分かれています。その遣使に高句麗が関わったという考えもあります。その遣使をめぐる議論と、実際にどうであったのかについて考えます。
第2回 5月21日(水)
⑫ 倭王済の宋遣使と加羅
内容:その後は宋への遣使をつづけます。宋からは、節度使・都督○○諸軍事・安東将軍などの称号が与えられ、いわゆる冊封体制下に入ります。その都督諸軍事の称号に加羅が加わりますが、その背景を考えます。
第3回 6月18日(水)
⑬ 倭王武の上表文
内容:倭王武は478年に宋へ遣使し上表して、称号を求めます。その上表文には倭王と朝鮮半島との関わりについて述べた箇所があります。その内容と実態とを考えます。
第4回 7月16日(水)
⑭ 百済武寧王の即位と倭国
内容:武寧王は唐津沖の加唐島で生まれ、倭国で育ちました。即位直前に帰国し、百済の王となりました。王陵発見で広く知られるようになった武寧王ですが、どういうわけか、その墓からは、倭国にいたことをうかがわせる材料はありませんでした。
第5回 9月17日(水)
⑮ 百済の己汶・多沙進出と倭
内容:6世紀になって百済が加耶へと進出していきます。その最初が加耶としては西北部で、百済に近い己汶・多沙地域です。その時百済は、倭に五経博士を送ってきて、代わりに兵力を求めます。その実際について考えます。