講師紹介と講座内容
講座名:飛鳥・藤原の考古学
講師名:相原 嘉之(あいはら よしゆき)(奈良大学准教授)
※新規講座
◆講師自己紹介 奈良大学准教授。博士(文学)。日本考古学・文化財学専攻。奈良大学文学部文化財学科卒業。奈良国立文化財研究所 飛鳥・藤原宮跡発掘調査部 研究補佐員、滋賀県文化財保護協会 技師、明日香村教育委員会 文化財課長を経て、2020年より現職。 飛鳥宮跡・藤原宮跡・酒船石遺跡・飛鳥寺跡・坂田寺跡・キトラ古墳・高松塚古墳などの発掘調査を行った経験を生かし、飛鳥・藤原地域の王宮・王都・寺院・古墳から、律令国家形成過程を研究しています。また、文化財の調査・研究と共に、文化財の保護・活用についても実践中です。 主な著書に『古代飛鳥の都市構造』(吉川弘文館)、『飛鳥・藤原の宮都を語る』(吉川弘文館)、『蘇我三代と二つの飛鳥』(共著、新泉社)、『飛鳥と斑鳩』(共著、ナカニシヤ書店)などがあります。 母校に戻ってからは、学生指導をすると共に、学生と一緒に、平城京などの調査・研究をしています。
◆講座の内容紹介・受講される皆様へ 古代国家の誕生は、753論争にもあるように、7世紀の飛鳥時代、5世紀の大型前方後円墳の時代、3世紀の大和王権の成立した時代と議論がありますが、私は、7世紀の古代律令国家の完成が、「日本国」誕生の瞬間とみています。例えば、日本で初めて時計を作ったのは、飛鳥時代でした。この時間設定に従って、役人たちは宮殿で働き、最古の貨幣である「富本銭」で給料を得ていました。他にも、米や様々な物品としても支給されていました。これらは税金として各地からもたらされたもので、戸籍も作られました。戸籍には住所表示が必要となり、国郡里などの地名や「日本国」という国名も決められました。「天皇」という呼称もこの時代にはじまりました。つまり、現在の社会制度や生活風習などは、7世紀の飛鳥・藤原地域で形成されて完成したことになります。 この国家形成過程を考古学的に解明する方法として、古代王宮・王都の研究があります。王宮・王都の構造・変遷を解明することにより、律令国家成立過程の特質を明らかにすることができると考えています。この講座では、飛鳥・藤原の王宮・王都から「日本国」誕生の歴史を考えてみたいと思います。また、近年の確認された最新の発掘調査成果についても検討していきます。
◆講座スケジュール
第1回 10月6日(金) 内容:小墾田宮の構造と位置
第2回 11月3日(金・祝) 内容:王宮をめぐる諸問題
第3回 12月1日(金) 内容:新益京の造営過程
第4回 2024年2月2日(金)※日程変更の可能性あり 内容:鸕野讃良皇女の宮
第5回 3月1日(金) 内容:王宮中枢正殿群の系譜