公益財団法人古代学協会

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講師紹介と講座内容

講座名:遺物からみる秦の始皇帝の時代

講師名:飯田 祥子(龍谷大学非常勤講師、古代学協会客員研究員)

※新規講座

◆講師自己紹介

名古屋大学大学院修了。元龍谷大学特任講師。現龍谷大学・愛知県立大学非常勤講師。
中国古代漢王朝(前206~後220年)の政治・制度を研究しています。中国は今でも広いですが、今から2000年以上前のころから広い地域が一つの国になっていました。
どうして遠く離れた地域さえも一つにまとめることができたのだろうか、また古代の人々は国というものをどう考えていたのだろうかという疑問が、私の研究テーマの根っこにあります。
研究では歴史書や文書などの文字史料を扱い、最近では後2世紀初めの木簡の読解に取り組んでいます。
手先を動かすことが好きです。編み物や刺し子などにも挑戦しますが、木簡を作ってみることもあります。

◆講座の内容紹介・受講される皆様へ

高校生のとき、地元の博物館で秦の兵馬俑展をみました。
兵馬俑の迫力にも圧倒されましたが、それ以上に印象的だったのは、普通の人の墓から出土した皿や壺などの生活の道具や、アクセサリーでした。
個性的なデザインに感銘を受けたと同時に、これを作り使った人が存在したことを実感しました。
残念ながら遺物を専門とする考古学には進みませんでしたが、普段は文字から過去を知ろうとしている分、その時代に作られた遺物には魅力を感じます。
最近、秦の始皇帝はエンターテイメント作品でも取り上げられていますが、その人物像は時代によって変化してきました。
秦は短期間で滅び、次の漢王朝で書かれた歴史書によって暴君とされてきました。
近年では新しい史料の発見に恵まれ、秦の実像が少しずつ明らかになってきています。
この講座では、歴史書『史記』の記述とともに、貨幣や武器等の器物、木簡のような秦の人々が触ったそのものである遺物の図版等を鑑賞しつつ、秦はどうやって統一を果たしたのか、秦のころの人々は統一をどう考えていたのかということに思いを巡らしてみたいと思います。
漢文史料は書き下し文か現代語訳で示します。




◆講座スケジュール

月1回 水曜日 15:00~16:30  ※12月は休講月です。

第1回 10月13日(水) 秦の統一
内容:秦の始皇帝の生涯と、秦の統一を概観します。また当時の文字記録から、統一の現場の声を聞いてみます。

第2回 11月10日(水) 始皇帝の先祖
内容:秦はどのような背景をもつ国なのでしょうか?古くから秦の民族的ルーツは議論されてきましたが、最近では墓の出土品から文化的背景を検討する試みがなされています。

第3回 1月12日(水) 秦のライバルたち
内容:秦は多くのライバルと戦い、またライバルの技術や文化を取り入れて、国力を強化したとされています。どんな違いがあり、何を取り入れていったのか、遺物からみてゆきます。

第4回 2月9日(水) 秦の文字を読む
内容:秦の木簡は大量に発見されており、現在公開と読解が進められています。実際に木簡の図版を読みながら、どういった情報を書き記していたのか、なぜ情報を文字にして書き記していたのか考えてみます。

第5回 3月9日(水) だれがどう戦ったのか?
内容:兵馬俑は、文字通り兵士と馬(軍馬)を模しています。つまり秦の軍隊をそのまま再現しているようです。秦の軍隊の特色をみてゆきます。