公益財団法人古代学協会は、2011年、創立60周年を迎えるにあたり、当協会の創立者・角田文衞博士の名を冠して、角田文衞古代学奨励賞を創設いたしました。
本賞は、季刊 『古代文化』 への投稿論文の中から秀作を選んで表彰し、古代史研究の奨励と将来性ある若手研究者を支援することを意図する論文賞です。本日はその第9回目の授賞式となります。
今回の選考にあたっては、本年5月までに『古代文化』編集委員・編集参与・編集協力委員等の委員から推薦を受けた論攷・特輯収録論文・研究ノートを対象として、編集委員・編集参与を構成員とする選考委員会(6月21日)での審議を経て選考されました。
その結果、板垣優河氏の「石器使用痕からみた打製石斧の機能 ―縄文時代生業の復元に向けて―」(『古代文化』第69巻第2号、2017年9月)が選ばれました。
本論文は、先行研究を批判的に検討し、新たに石器の機能推定のための実験データを提示するとともに、そこで得た分類基準をもとに中部地方を中心とする打製石斧の機能分類を行い、考古学的手法による縄文時代生業復元への展望を拓きました。実験手法の客観性、良好な分析結果、学際的研究への発展性等について、選考委員会において高い評価を受けました。
ここに将来性を予感させる秀作を選考することができましたことは、主催者として喜びに堪えません。本賞が板垣氏の今後の研究の進展に、いささかなりとも寄与することを願うものです。
今後もひきつづき、関係各位のご理解とご支援をお願い申し上げる次第です。

令和元年11月16日
公益財団法人 古代学協会
理事長 朧谷 壽